Story of Tax Examination 税務調査物語 相続編

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お父さん、子供や奥さんに脱税の汚名をきせてはいけません。

vol.28

 「そこまでわかるかな。」「そんなことまでバレないよ。」と判断してしまうのは多くの場合、相続人である奥さんや子供さんです。突然、父が亡くなり、頭が真っ白になりどうしていいのかわからなくなる。亡くなってから10か月の相続税申告までに、生前に、自分だけが聞かされている、「財産のこと」をそのまま税理士さんに言わないで、将来税務調査で申告漏れの指摘を受けることもありえます。まわりの親戚の人とかの意見で「そこまで税理士さんに話さなくてもいいんじゃないの」と意見を聴き、その結果「生兵法はけがのもと」税務調査でつらい思いをした人はおおぜいいます。税務署になじみがない皆さんが思っている以上に、税務署にはお父さんの資料が集まっているのです。
 お父さんが会社の社長や病院の経営者の先生の場合、所得税の申告書で1年間の収入すべての資料が出ます。さらに、最近の株式売買は、特定口座を通じて源泉税を支払っている人が多いため、証券会社での取引金額が100%わかります。土地の売買は売った人が所得税の確定申告をするため100%資料が出ます。(当事者間の裏金がどうかといわれても私にはわかりませんが)
 また、法人の経営者は会社との貸し借りのやりとりを、役員借入金や役員貸付金で会社の帳簿にきちんとつけているため100%わかります。いついくらを会社から返済してもらったか、会社に貸し付けたかは詳細にわかります。
 相続人のみなさん、世の中に新聞で相続税の脱税という記事はすべて、亡くなった人のやった事ではなく、残された人のやったことなのです。勘違いしないでくださいね。親はこの世にいないのですよ。子供がまわりの話を聞いて、申告するのは愚かなことなのだと言わんばかりにやってしまった行為が新聞の脱税記事を賑わしているのです。
 所得税と法人税は違って稼いだ人が脱税の張本人なのですが、相続税はこれと全く違うのです。残された奥さんと子供の相続税の無理解が、将来その数年後の税務調査で苦しめられ、果ては脱税起訴される人が出るのです。子供または奥さんとは、もう少しご自分の財産について話をする機会をつくるべきです。いつか知られるのですから。
 

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貸金庫の使用料で発覚。

vol.27

 貸金庫を使うは人多くなっています。いったい何を入れておくのでしょうか。重要な契約書、権利書または現金、さもなくばゴールドでしょうか。貸金庫の使用料はほとんどの場合に通帳から自動引落です。ですから必ず通帳を税務調査官に見られると彼らは通帳の印字を捜し貸金庫があるかどうかを探ります。
 さらに、毎年同じ金額の引落しかを見ます。それはなぜか、それは貸金庫の大きさが大きいものに変えていないかどうかということです。ゴールドだったり現金だったりすると、より広い金庫ではないと入りきれません。そこに目をつけています。
 最近、貸金庫を借りる人が多いので、貸金庫に重要なものが入っている実情を調査官は十分に承知です。必ず、調査官は「その中身を見せていただきたいので、一緒に銀行へ行きましょう。」となります。
 特に最近は調査官は、ゴールドの価格が上昇しているので、貸金庫にゴールドが入っているかもしれないという、直感を持ってきます。もちろん、相続税申告書に記載されていない「隠しゴールド」捜しです。
 調査官「ゴールドを探せ。」と合言葉のように唱えて調査しているかのようです。

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現金で持てば誰にもわからない ?

vol.26

 「銀行に預けているから人にわかってしまうんだよ、手元に持っていれば人にわからないよ。」といってタンス預金する人がいますね。あの手この手で現金を隠します。自宅の金庫、仏壇、床下、寝室等とかなりさまざまなようです。
 本当にわからないでしょうか。ちょっと振り返ってください。このお金どこからでてきたおかねですか。預金の引き出しですか、株式の売却代金ですか、保険の満期金ですか、土地を売った収入ですか? もしこれらのお金ならば後日、相続税の税務調査があった場合には、ほとんどわかってしまいます。なぜならば、通帳に記載されていたり、税務署に資料がでていたりするからです。
 私はこれを「頭を隠して尻隠さず」と言っています。世の中、尻を隠すことばかり考えて、頭がでていることに気付かない人が多いのです。
 現金をしまいこんでそのまま亡くなって、相続人がその財産を知らなかった場合もあります。相続税の税務調査のおかげで財産が見つかった、ということも笑い話ですが世の中には現実としてあるのです。
 また、現金は100%しまいこんだままにできるのでしょうか。北朝鮮のようにデノミされたら、あっという間に表に出てしまいます。新紙幣の発行で表に出ます。万札を包む帯が古くなると人は新品に札にロンダリングしたくなります。自分の事情ではなく、家族の事情でその一部金を使わなくなければならない事情もあるでしょう。
 何よりも、今現金を持っている人自身は、相続税の税務調査など関係ありません。その方が亡くなった後、その相続人たる子供たちが相続税の税務調査を受けるのです。現金で持つことは税務署の調査官が「一番働きがいのある、やりがいのある環境をつくる」ことになります。彼らは目を輝かせて本気になって正義感を全面的に押し出して調査してきます。場合によっては査察担当が来たりするため、善良な納税者が失礼な言葉で混乱させられるケースもよくあります。「お父さんと一緒にこの財産を寝ずに作ってきたのに、私は犯罪者扱いなのですか?」と涙した奥さんもいました。
 現金として保管していても、キチンと申告さえすればいいのだろう、というのは事実ですが、残された何も知らされていない相続人もことを考えると、税務署の調査官と誤解が生まれる可能性が一番大きいので、現金での保管はお薦めできる運用方法でないことは事実です。

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子供の名前の預金は誰が管理していますか。

vol.25

 子供のハンコを新たにつくり、子供の名前で定期預金を新たにつくる。ハンコは金庫に入れておき、「私に万が一のことがあったら、このハンコは子供にやってくれ。」と言い残し亡くなってしまったケースです。
 相続した長男は、税務調査が来たら「これは私のものです。当時親からもらったものです。」と言おうと心に決めて、相続税申告の遺産には入れませんでした。確かに、親が管理していたという証拠は見つかそうにありません。一方、自分がもらっていたという証拠は、唯一ハンコがいつも親が使用していたハンコと違うことです。そのハンコは現在自分が持っています。大丈夫と思っていました。
 この長男は嫁が姑である母とそりが合わないため、近所のマンションに住んでいました。そのため、自分がつくる定期預金はすべて自分独自のハンコを使っておりまして、お父さんが子供用として使っていたハンコはお父さんの所の金庫にあったためもちろん使用していませんでした。
 調査官「なぜ、贈与してもらった定期預金と自分の給料からの定期預金のハンコが違うのですか。相続人のあなたは贈与に事実を知っていても、実質的に管理していないのではないですか。この定期預金は自由にならなかったのではないですか。自分で自由に解約して使えないならば、実質的に管理していないことになるので贈与は成立しませんよ。」
 後日、調査官は「もう一度銀行で調べました。」「贈与されているという定期預金の一部が平成○○年に1本解約されています。何に使ったのでしょうね。」、相続人「きっと父親名義のこの家の屋根の塗装に使ったのでしょう。」、調査官「そうですか、お父さんは自分の預金のつもりで、あなたの名前になっている定期預金の一部を勝手に解約して自分のために使ったのですね。それでは、贈与は成立していないことになりますね。」
 調査官「この預金は亡くなられたお父さんの定期預金ということになりますね。修正申告してください。」、相続人「うそはつけなかったですよ。」の一言でした。

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教育費に贈与税はかからないというけれど。

vol.24

教育費に贈与税はかかりません。親は大変ですよね。子供の塾、私立高校、予備校、大学、さらには仕送り、さらには留学となったら、親のすねはボロボロ。これらの費用を親が負担するのが当然というより一般的でしょうね。
もし、この費用を親ではなく、一緒に住んでいる、世帯主の、それも一番財産の多いおじいちゃんが支払ったらどうなるのでしょうか。おじいちゃんだって一家の世帯主として家族の扶養義務があります。おじいちゃんが「よしわかった、その学費わしが出そう。」となれば、それはそれでいいのでしょうね。結果的にはおじいちゃんの財産が減ることになります。もちろん結果的にですよ。
 税務調査で、その贈与の事実をどう立証するかでもめることがあります。税務署にとやかく言われる時期は、世帯主のおじいちゃんが亡くなって、相続税の税務調査になった場合です。この時に今までの贈与としてやってきたことに真価が問われるからです。
 たとえば、学費を支払う時期が3月頃なのに、その数ヵ月後に、おじいちゃんの預金口座から現金でその額と似たような概算額を引き下ろしているようなケース、これは学費ですと立証しきないので、調査官は「このお金は学費の贈与ではなく、どこかに隠し持っているのではないですか。」と疑ってくることがあるのです。
 おじいちゃんが「わしがだそう」というなら、支払期限の3月に学費そのものズバリの金額で支払ってくれるか、またはそれに似た出金が3月にあって「これで支払いなさい。」と言って手渡してくれるのが普通でしょう。時期が数か月ズレルとあればその立証をしないとなかなか認めないことがあります。寝たきりの意思表示できないおじいちゃんの預金口座を、長男が勝手に出し入れする場合もあるからです。
 本当に教育資金を贈与するならば、その領収書を必ず保存しておきましょう。証拠があるにこしたことはありませんよ。

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